常総市での使用から
避難所の暖房の技術的なことと気の付いたことをまとめてみました。
1、 エネルギー消費量からみると下記のような順番となるだろう。
湯たんぽ<足元暖房<コタツ<床暖房<局所暖房ストーブ<全体暖房ストーブ
2、次にそれぞれの特徴として私見をまとめると以下のようになる。
◆湯たんぽ→湯を沸かすことが困難
→避難所300名として 4ℓ*300=1200ℓ
これだけの量を沸かすのに相当数のカマドと人工手間・水・燃料が必要
⇒現実的に困難 湯たんぽ特性として最初熱く温度が降下する 24時間連続使用は無理
◆コタツ→電気容量/配線などが困難
→コタツの発熱量は600w*75台=45,000w(450A)
⇒現実的に困難 強力な発電機必要 電気配線工事必要
◆床暖房→あらかじめ床下に暖房工事が必要
⇒困難 災害時のみの使用のために
◆局所暖房ストーブ→ 一般的に石油ストーブ反射型(3,000kcal)又は対流型
⇒大量設置のために火気管理が大変。
(阪神大震災時にカセットコンロが使用禁止された例あり)
◆全体暖房ストーブ→ A:大型の石油ストーブ(15,000kcal)熱は周辺の他、上部に行く。
温風式もあるが床面に休む避難者には暖房効果は薄い。
⇒強火力に暖房せざるを得ないので排気量が大きく部屋の空気が汚れる。
:温風暖房機(15,000kcal~35,000kcal)部屋が乾燥する。
⇒乾燥は風邪を引き起こし易い。送風音がする
⇒A、B共、燃料消費量が大きい。管理上夜間運転を止めることがある。
◆足元暖房 → 部屋全体を暖めない
湯たんぽ効果がある
大量の人々(体育館全体300~400名)の足元を直接温めることができる
熱源は屋外のために部屋の空気を汚さない
24時間運転が可能 燃料消費量(30ℓ/日)が少ない。
全体暖房ストーブとの併用がある。
その他の利用の仕方:
テーブルの下にパイプを重ねて敷きこんで上に
毛布・布団をかぶせればコタツとしての利用も可能。
⇒パイプを敷きこむので被災者の移動などの協力が必要
3、私の意見:
常総市の避難所は過去の避難所と違うところがいくつかあった。
・プライバシー保護のために仕切り壁あり
・段ボールベット使用されていた。
・毛布の他に布団が用意されている。
(いずれも発災当初はなかったが)
対応策:
① 仕切り壁
放熱パイプは壁下床上に転がすように設置する。
パイプの高さは10㎜であるので障害とならない。
また適度な硬さもあるので多少の重量でもパイプは潰れることはなかった。
② 段ボールベット
パイプは多少の柔軟性があって床上から
ベッド敷ふとん上までは約100R程度の曲げを重ねてゆけば設置可能
固定は養生テープによって要所要所貼留めることができた。
③ 毛布の他に布団
避難所というと毛布というイメージが強かったが布団の多用も良いことだ。
人はそれぞれ体感温度も違って暖かさを必要とする人もいる。
ちなみに放熱パイプは足先付近に置くために暖かさは位置によって調節できる。
パイプからの放熱温度は45℃~50℃程度でも十分な暖かさを感じることができる。
◎ 今回は短期間の用であって常駐して調査ができなかったので
灯油使用量などのデーターを得ることはできなかった。
◎ 常総市は仮設住宅を作らなかった。
東日本大震災の例を見ても仮設住宅を作るだけでも
土地・建物・設備・ライフライン(電気・上下水道・ガス)などで700万円/戸ほど掛かる。
今回のような局地的災害の場合を見ると
隣接市町村などの協力や避難者の理解を得れば
空き家や有休施設などに分散居住をしていただいて
改めて復興住宅などを作った方が出費を抑えられるのではと感じた。
◎ 決壊現場を見た2か所ある。
降水量が破格に多いので決壊・越流は鬼怒川の上下流どこでも可能性があったようだ。
ただ川の多い私の住んでいる富山県の河川と比べ川床が高く
堤防が低いように思えた。その例として河川中央に葦などの草原が所々に見えた。