①2024能登半島地震

1月1日午後2時11分ごろ能登半島地震発生。 M7.6。私は高岡市にいて正月気分は吹っ飛んだ。友人・知人・社員に連絡しカマド5台などを2Tトラックに積み込む。米も100㎏積みその他の食材も購入する。就寝を3時間して翌朝4時前に高岡を出発。目的地は珠洲市正院小学校だ。


②珠洲市正院小学校

体育館はブレスが切断。この後雨漏り。避難者は入れなかった。ここは支援物資保管庫となった。考えてみればこの建物は耐震構造のはず、かって天井があった建物が使えなかったことはあるが構造材むき出しがこのような状態になろうとは。


③水

水は備蓄のペットボトルが数十本しかなく、水源を探しに行く。幸い隣の学校の受水槽の水を分けて頂くことになり、水道ポンプを持参し吸管を投げ込み頂く。その後区域内の神社の手水社にきれいな水が出ることがわかり継続的に消防団のお兄さん方が取りに行くこととなった。


④炊飯

私は炊き出しというとまず「おにぎり」だと思う。関東大震災時にもこの塩おにぎりは塩分・水分が取れ好評だ。写真は釜に米を15㎏入れて洗米をしているところ。今回炊飯の機会が多く、後のために良いデーターを得た。


⑤シニアパワー

私も同年代。ここのシニアは皆元気。管理者より「ストーブは汚いから撤去しろ」と言われ、カンカンに怒った。子供は風の子大人は火の子というが皆元気、風の子だ。寒ブリをストーブで焼いている。こんなにうまいのは初めてだ。この後彼らの活躍できるテント場が設置が決まる。


⑥ないないと言いながらも

災害時は外部からを当てにして無いないというが、街中資源を探そう。職員用冷蔵庫をゲット。このほかに今は使わない給食室の中に大型冷蔵庫・冷凍庫・棚・ザル・食缶などザクザク出てきた。


⑦器材や食材の確認

物事何を進めるにも整理整頓が第一持参の炊き出し器材を取り出したプラケースは食品の保管庫となる。


⑧炊き出し器

炊き出し器は被災状況を予想して一番大きな鍋大なべ700型食数は最大700~1000食迄 この確認者は市議会議員の裏修一氏。市議になって昨年5月5日より災害の第一線に立つ。元教員 教え子からの人望も厚い。今回この先生と連絡を取りながら来た。何事も人と人だ。


⑨水道ポンプ

炊き出しは炊き出し器だけあればよいのでなく少なくともこの水道ポンプ、流し台、発電機などは必須だ。400Wインバーターは多目的に使用できる優れもの。熊本・胆振東部の地震でも活躍した。


➉炊き出し器と熱交換器

手前のカマドはまかないくん85型釜の中には熱交換器。そうそうカマドの熱源はすべて灯油バーナーを使用ガスと違って冬季の場合も火力は落ちない。熱交換器は給湯器として蛇口から湯が出る。


⑪流し台

右に900Wの流し台。水栓が2個付き水と湯が出せる。水の流れで示すと水源⇒ポンプ⇒熱交換器⇒流し台の順だ。流し台の水栓一方には4ⅿのホースが取り付けられていて大なべに直接給水できる。


⑫水道ポンプ

玄関入り口には滑り止めとしてマットが敷かれる。赤と青タンクは灯油用。この壁裏に透明ポリタンクがあり飲料水となる。水はこの時点では給水車の水は来ていない。熊本地震では水の殺菌として1000リトル当り3ℓほど水道職員が殺菌薬液を入れた。


⑬衛生管理 

使い終わった食器は先に汚れを除去してのち、必ず釜の中で煮沸消毒を行った。被災者へ食の安全を確保。投入・ザルで引き揚げ・水切り。3人一組だ。


⑭炊飯

この写真は実際炊飯中か定かでないが「まかないくん85型」で炊飯する。最初一度に15㎏を炊飯したが取り出しやすさから10㎏に切り替えた。そうなると3回炊飯する。回を重ねるごとに上達する。割と重要なのは洗米のつけおき時間だ。


⑮おにぎり作り

食器の制約と提供のしやすさから、おにぎりとお椀で一セット おにぎりを衛生的に!出来上がったごはんに塩を振りラップをかけた椀に入れラップごと握る。それらを流れ作業で。


⑯てあらいくんPetドレッサー

感染症防止で手を洗うことが奨励されている。3年前に開発した手洗い器。右のタンクの水をペダルで上部ペットボトルに貯め落差でシャワー吐水。これで清水タンク20ℓ一個で50名の手洗いが可能。歯磨き・洗面・鏡も取り付けているので女性に好評。


⑰卵を割って

夕食の汁物は卵とじに決まった。これをといで鍋の中に入れたが、調理の方が沸騰前に入れてしまい白濁してしまった。調理では焦ってはいけない。


⑱洗米

この道具名はマタテ?芋の子洗いをヒントに熊本で作った。初めて作ったとき折れて失敗、改良し現在の形に。先端には木へらが2個取り付けていある。これで右左と攪拌し水を二回入替て洗米は完了する。


⑲流し台

業務用の流し台、右がワンレバー混合栓、左は2ハンドル混合栓。流し台はしっかりしたもの。大きな水槽排水は詰まりやすいので改良したい。


⑳大なべ700型

このタイプは鍔元で224ℓ。約1000人の炊き出しができる。今回は灯油バーナーで火力は46,500kcal。このタイプは今回のような大きな災害には十分だ。


㉑大なべ700と人

こんなに大きい。私共が阪神大震災に炊き出しに行ってから炊き出し器を開発した。大きな災害に比例して大きなカマドのコンセプトで。まず最初は日赤福井県支部購入だった。今回出来るだけ早く被災地に行くのは発災直後が被災者にとって一番苦しい状況下だから。


㉒おにぎり作り

釜から大きなボールに木へら2個使って出来立てのご飯を移し、ラップを敷いた椀にしゃもじで移し。おにぎりを作る。おにぎりには手の汚れが付かない


㉓被災者皆で

発災直後の炊き出しは主に被災者のみで行う。右奥には観光客としてこの地に訪れた和歌山からの若い堀祐人夫婦がいる。彼らが最大500名の避難者の命をつなぐ。


㉔今日の献立

ここの小中学生は絵でも書でも特別な才能があって上手だ。被災され大変な中でもこんな絵が描けるなんてステキな話ではないか。


㉕学校に電気が

1月4日夕食調理中に電気が来る。灯りがともった炊き出し場に歓声が上がる。文明の明かりがともった。それでも能登地方全体暗かったのか、それが冬の星座オリオン座を大きく輝かせた。地球は大変でも宇宙は不変雄大だ。


㉖食の記録

調理とお椀数が記録されている。
4日夕食はカレーで約400食。以前の北海道胆振では私は記録を積極的に行ってレシピも詳細に残せたが今回は調理作業にウエイトは乗った。


㉗学校の発電所

関西電力送配電。高圧発電機車と車には書いてある。後ろの受電設備に電気を送り小学校に電灯がともった。今回私は帰路 前回の能登半島地震 門前西小学校へ寄ったが同様の車が働いていた。


㉘冷蔵庫

金属資源に街中鉱山という表現があって鉱山の採掘より身近な資源の活用をうながす言葉があったがまさにこの冷蔵庫。今は共同調理で使われない調理場のもの。あるものは活用する。牛乳用で4℃設定であったものを肉用に-1℃設定に変えた。


㉙てあらいくんPetドレッサー

写真は下部しか映っていないが向かって右に清水タンク手前に足踏みポンプ。左に汚水タンク。仕組みはポンプを踏んで上部のペットボトルタンクに水を満たし落差でシャワー吐水。手を洗った水は汚水タンクへ。これが大人気。手洗い歯磨き洗面これ一台で400名を。


㉚大なべ700型

灯油バーナーの火が釜底にあたっている。火力をもう少し上げたいが限界だ。調理などをすると改良点が見つかる。私はボランティアか?と聞かれる時は「仕事です」と返事することがある。どっちみち仕事でも社会に奉仕するボランティアではないか。


㉛温水マット作り

右が私だが自分では若いつもりでも75歳は一目瞭然。被災者の方々と温水マット作りに励む。この炊き出しチームが93歳のお年寄りの命を救う一助となった。後日の新聞に点滴と湯たんぽで93歳のお年寄りの命が助かったと掲載された。その湯たんぽはこれだ。


㉜炊き出し器85型と熱交換器で

今回、大津波警報が出たので研究開発中の低体温症対策として器材を持ってきた。小学校隣の家に午後3時ごろから警察の方が救助活動。救出なら必要だろうと持って行ったら役立った。写真は見えづらいが熱交換蛇口より温水マットへ湯の投入。


㉝これは本来の湯たんぽ

これは正式の湯たんぽSGマーク付き。先の温水マットは体面にピッタリつくように柔軟性があってこれとは違う。湯たんぽ約20個あって被災者に配る。中には犬と一緒なので下足室に寝る老夫婦のために2個使って貰った。


㉞大なべでの調理

寒さで冷めないように木蓋を半分載せて調理する。木へらは調理物の重いものが釜底に固着しないよう定期的に攪拌する。厳冬期訓練にリゾット調理中、あまりの寒さに攪拌から逃げ出したことで釜が空焚きし穴が空いたことがある。


㉟コーヒーコーナー

ドリップ式本格珈琲 富山のアジア子供の夢 川渕さんの得意分野 1月6日は200杯 7日は250杯 厳しい避難所生活を一杯のコーヒーで和らげる。最初、濾しフィルターが見つからなくて代用紙を使ったというが工夫で乗り切るは災害時のだいご味。


㊱肉豆腐

こんな名前の料理があるのかと聞いたら、皆、聞いたことがないという。とにかく名は具材の中身からだ。具材の中身はたくさんあって後々この震災の傷が癒えたら思い出の料理と頭の中に浮かんでもらえたら幸いだ。

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